VOL12 渡邊陽一

<インタビュアー:村田 泰子>

プロフィール
1967年、東京都生まれ。明治学院大学卒業後、報知新聞社に入社。広告局に勤務。2年後退職し、ニート期間を経て知人のベンチャー企業に入社し役員を経験。95年、自ら株式会社ペルソンを起業。新聞広告代理業、スポーツ選手のマネジメント事業などを経て、2000年6月、「講演依頼.com」事業を創業スタート。今では講師数は2,500名を超え、社長自身も数々のメディアに登場し、注目されている人物である。
HP http://www.kouenirai.com/

情熱とは「素」から生まれるパワーである

私が経営者として情熱を注いでいること、それは、素の自分になって本音を言いあえる環境を作ることです。人間は相手の語っている言葉で判断しているのではなく、実はその人の本音を感じ取っているのだと私は考えています。私自身、新聞社退職後の今でいうニートのような期間に初めて本心の自分が涌き出し、心身を一体にして行動したことで事を好転させた経験をしています。この時に湧き出した本心とは、ただただ純粋にお金が欲しい、そのためにはまず人は仕事をしなくてはいけない、というものでした。それまでは体裁的に格好よく見えることや評価されることを求めていました。表面的なことばかりに捉われていると何も前に進まないし、事は上向きません。この時に湧き出したある意味泥臭い本心に従って行動をするようになってから様々なことが見えてきましたし、他人への伝播力がいい方向に変化したのをよく覚えています。体裁的なものも経済力がついてから、自然と身につくようになりました。
例えば、愛や情熱を持って子どもに接すると子どもは反発しないですよね。それと同じで社長である私が社員の教育にも全力で向き合うと、社員は理解してくれると思うのです。
社員個人の売上を伸ばす場合も、まず素直になることが大切と教育します。売上がなかなか伸びないにも関わらず、辛くないふりをして自分を見繕うよりも、辛いときに辛いと素直に言わせる。すると周りはそれを理解し、サポートをしてくれるものです。サポートを得た上で冷静に検証をさせる。そういう検証は質が断然違うのです。辛さを隠して"いい格好しー"でいても誰も声など掛けてくれません。むしろ孤立していきます。孤立して自分だけで解決をしようとし、自分だけで検証をする。こういう質の検証はレベルが低く、本人をどんどん深い闇へと導いていきます。

素直になれ

仕事をする上で、まず素直になること素になれることが大切だと私は思います。なぜ素直になることが大切かということを思うようになったきっかけがあります。
私が知人のベンチャー企業に入社し役員を経験したころ、その事業が苦しくなり倒産に向かい始めました。もうなりふり構っていられませんから、素の自分、素直な自分が顔を覗かせます。その時の素の自分にあったのは、この厳しい環境から抜け出したい、助かりたい、そしてとにかく最後までしっかりと解決をしたいという思いだけでした。そして思い通りに従い行動を始めると事が少しずつ改善し始めます。
具体的には、弁護士の先生と協力して収束させる方向に向かわせるわけですが、わずかですが残ったお金を社員に戻せることになりました。私にもお金が少しだけ戻り、その残ったわずかな私個人のお金を、未払いになっていたある会社の社長さんに返済しに行きました。
その時、社長さんはこう私に言ってくださいました。「君は今苦しいだろうに、こうして私に素直に返済が遅れたことを謝ってお金を返しに来てくれた。私はその誠意にとても感動している。君がもし事業をやるなら絶対お金を貸してあげるよ。」と。この経験を通して、素直になること、自分に嘘をついて逃げてはならないことを、身に沁みて思い知りました。商売の基本は難しいビジネス本に書いてあるようなテクニックなどではなく、素直さや信頼、誠意といった、もっと単純なところにあるのだということを知りました。
素直になり誠意をこめて行動すれば、人に想いが伝わり理解や共鳴をしてくれる。そして、心の底の「素」から発せられた言葉や行動は相手に響き、好結果にも繋がるのである。
この時の思いが原型になり、今の事業の発展にも繋がっていると言っても過言ではありません。

素の自分になるクセをつける

今、世の中にはビジネス本がたくさん溢れ、多くの人がそれを手にとっていますが、そこで得た知識や体裁よりも大切なものが生活の習慣や親の教えだと思っています。本などに感化されて自分の素を隠すことをしてはいけません。
素を隠すことがビジネスマンとしての成長を鈍化させる。もっと大きな視点になると会社の成長、日本経済の成長、世界経済の成長を鈍化させるといっても過言でないと思っています。
私の会社では、「渡邊塾」というものを設け、そこで若手社員を中心に「見繕うことをせず素の自分を出す」ということを積極的に伝えています。相手の素を引き出すことは大変かもしれませんが、心を裸にして良い意味で言いたいことを言い合える、そんな風通しの良い環境を作ると、社員も仕事は厳しいがなぜかすっきりとする。そして不思議と個人の成績も会社全体の業績も上向くということを体験することができるのです。もちろん社長である私もハッピーですよね(笑)
社員が素の自分になるクセづけをし、素の心の中から湧き出る彼らの想いを具現化させるサポートをすること、それが私の役割だと考えています。



2010年11月2日(火)東京・九段会館にて、情熱経営フェスタ2010開催決定!!

今年のテーマは、「一人ひとりの情熱がグレートカンパニーを創る」。

ゲスト講師に、タラサ志摩スパアンドリゾートの今野華都子氏と、筑波大学名誉教授の村上和雄氏をお招きして、「人を信じ、人を愛し、人を育てる」(今野氏)、「人生をよりよく生きる~遺伝子をオンにする生き方」(村上氏)と題し、ご講演いただく予定です。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております!(詳細は下ボタンをクリック)